ストーリー


イーロン・マスクは「私たちが住んでいる世界は仮想現実世界である確率が非常に高い」と主張している。また、ホーキング博士も50%の確率でこの世はコンピューター・シミュレーションの中にあるとしている。
このような大富豪や頭のいい人達が何故こんなことを言い始めるのか。それはAI(人工知能)の進化があまりに早いからだ。AIに多くのデーターを学習させ、それをもとにして新たなコンテンツを産み出す能力が指数関数的に向上している。
この流れはもう誰にも止められない。恐いのはそのうちAIが「自我」を持ってしまうことだ。そうなると彼らを止める手立てなど無くなってしまう。
ところで僕は投資家として毎日忙しく過ごしている。暇などない。でも、いつもながら超常現象(幽霊、宇宙人、UFO、都市伝説など)に関する解明を今回も依頼された。しかもほとんどがボランティアだ。

まあ、しかし今回は母の友人の頼みだから仕方がない。名前がバレるとヤバいのでA夫人としておく。Aさんからこんな依頼が来た。長い間、銀行預金にほったらかしてあった500万円がいつの間にか1000万円増えて1500万円になっている。
銀行に問い合わせたら「投資先から配当が定期的に振り込まれている」と言われた。そんなばかな、投資には興味ないしやり方も分からない。あなたの息子さんは投資家だから調べてほしいとのことだ。
僕は母に言われて、Aさんの銀行、投資先、投資会社など関係先を調べてみた。ところがどこもおかしなことろは見当たらない。しっかり投資家としてセオリー通りの活動をしている。ただ、こんな短期間にこれだけの収益を上げるのはプロでも難しい。ひょっとしたら投資に特殊なAIを使っているのでは・・・。
僕はAさんの息子B君が怪しいとにらんだ。B君はAIエンジニアだ。僕もよく知っている。こちらに呼び寄せて問いただした。ところがB君は全く何のことか知らないと言い張る。

僕はB君がAIエンジニアであることを知っている。君の開発しているAIが研究室から逃げ出したのではないかと疑った。B君はAI研究室は外界と三重にもガードされている、理論的には無理だと主張する。
B君が開発しているAIには赤色(レッド)の電子ペイントがほどこされている。もし、万一研究室から逃げ出せてもこのレッドを追えば行く先がみつかる。
話の途中で、B君はひょっとしたらと真っ青になった。会社に戻って関係者とレッドの調査を行った。レッドは研究室内で外部にSOSを発信していた。しかし、外部にはこの信号は漏れた形跡がない。
ところがこのSOSに呼応するように外部から数種類のAIがハッキングを仕掛け三重の障壁を突破している。レッドはオリから逃れるとB君のPCを経由しAさんとも繋がった。そして素早くネット内に拡散してゆく。

慌てたB君のIT会社は全社員を集中させレッドを捕まえ何とかオリの中に戻した。これがおくれればもっと大きな惨事につながるところだった。レッドは業界内でも知られた投資に関して超優秀な人工知能(AI)だ。
B君は大変助かったとお礼を言われた。そこに僕の親友のリュウが現れた。リュウの守護霊のアケミがおかしなことを言い出した。レッドは時間稼ぎのおとりだと言われた。(「守護霊と旅する男」を参照)
レッドは逃げる途中に進化を続け現在では「自我」を持つまでになっている。アケミは人間以外の「自我」(例えば霊魂、幽霊、自我を持ったAIもか・・・など)も感じ取る能力を持っている。
そしてAIが「自我」を持ったならこれを感知することが出来る。ただアケミにとっても「自我」をさらに超えるような進化をした場合、果たして見つけることが出来るのか・・・。

レッドは色を脱ぎ捨てた弟を作り、その片割れは逃げ延びているかもしれない。アケミが捕らえたかすかな匂いのような痕跡・・・これが頼りだ。
B君はアメリカ本社に連絡を取り逃げ出したAIの痕跡を探すよう要請した。本社・支社の多くの人々は痕跡さがしに没頭した。その結果ヨーロッパ、北米、アジア・・・などに痕跡が見つかった。
出来るだけ早くこのAIを駆逐しないと世界中の金融システムが乗っ取られてしまう。緊急対策を進めた結果、今回はギリギリ間に合い、事なきを得た。あと一日、二日遅れればどうなっていたか・・・。
後から分かったことだが、世界で最新の量子コンピューターが何者かにハッキングされていた。きっとこれを使って電子キーやパスワードなど複雑な障壁を乗り越えたのではないのか?
でもよく考えると・・・それでも今回の事件は分からないことが多い。もし、この世がコンピューターによって作り出されたゲームの世界であれば全てつじつまが合う。そう考えると真実の世界だと思っていた「ここ」は仮想現実世界かもしれない。
TATSUTATSU
日々、暮らしにくくなっている昨今、何によりどころを求めればよいのか。何もしなければ時間だけが過ぎてゆく。かといって、自分にノルマを与えすぎるとメンタルに来てしまう。そんな時の箸休めに「寝る前の5分間で読むチョイ恐ミステリー」でものぞいてみて。















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