サマリー
2014年公開のアメリカ戦争映画、監督はデヴィッド・エアー、主演はブラッド・ピットである。第二次世界大戦において連合国がナチス・ドイツに最後の戦いを挑んだ1945年4月が舞台となっている。
映画のコピーでは「たった5人で300人のドイツ軍に挑んだ男たち」の物語となっており、戦車は自分の家、戦友であることから「フューリー」(復讐の女神?)と名付けている。
リアルさを追求した戦争映画で、そこには善悪、人間の理性なんかまるで通用しない、敵は女・子供といえども殺さなければこっちがやられてしまう・・・・極限状態である。(死体にすら生きてこない様に容赦無く機関銃を浴びせる。)
ドイツの最高性能重戦車ティーガーIと米軍のシャーマン中型戦車の戦いは実に見応えがある。本物のティーガーIを登場させている、戦争映画としては第一級品と言える。
ティーガーI、正面の防御に100mmの鋼板を装着している、重量57t 。
「フューリー」に乗り込んだ5名の隊員は戦争によって肉体も魂もボロボロにされてゆく、しかしそれでも過酷なミッションに挑戦しようとする・・・・・・何の為なのか、誰の為に命をかけて戦うのか。
時間を忘れてこの臨場感豊かな作品を堪能してほしい、戦争の過酷さが伝わってくる。
M4A3E8シャーマン、重量30t・・・・・ティーガーIと比較して、防御力・破壊力が大きく劣る。
ストーリー
ストーリーを少し紹介すると、第2機甲師団第66機甲連隊に所属する、M4A3E8シャーマン戦車「フューリー」には5名の乗り組み員がいる。(「」内は愛称である。)
●戦車長のドン「ウォーダディー」⇒コリアー軍曹(ブラッド・ピット)
●砲手のボイド「バイブル」⇒スワン(シャイア・ラブーフ)
●装填手のグレイディ「クーンアス」⇒トラビス(ジョン・バーンサル)
●操縦手トリニ「ゴルド」⇒ガルシア(マイケル・ペーニャ)
●副操縦手ノーマン「マシーン」⇒エリソン(ローガン・ラーマン)
副操縦手は前の戦いで死亡したため、新兵でほとんど戦争経験の無いノーマンが配属される。彼の最初の仕事は戦車内部の清掃であった。
副操縦手の席は血だらけで、弾丸によってはぎ取られた顔面の肉片がこびり付いていた。・・・・・彼はそれを見て嘔吐する。
戦車小隊が行軍中、ノーマンは戦車を狙う少年兵を撃つのをためらったため対戦車兵器によって先頭の戦車が破壊される。
怒ったウォーダディーは無理やりノーマンに銃を握らせ、捕虜になったドイツ兵を撃ち殺させる。
予定通り、小さな町を制圧した戦車小隊は次の任務である交差点の確保に向かう。ドイツ軍はこの交差点を通過して攻撃してくる可能性が高かった。
目的地に向かう途中、ティーガーIと遭遇する、4台シャーマンで応戦するが、圧倒的な破壊力を持つこの重戦車によって3台シャーマンが破壊される。
「フューリー」は敵の後方にうまく回り込み、防御力の弱い背後からティーガーIを破壊する。
戦車一台となった小隊は交差点に向かう・・・・・・交差点に差し掛かったところ、敵の対戦車地雷によってキャタピラーが破壊され、立ち往生してしまう。
偵察に向かったノーマンは約300名のドイツ兵がこちらに向かってくるのを目撃した、果たしてウォーダディー達は、ここで戦うのか、それとも逃走するのか映画を観て頂きたい。
ネタバレ
ウォーダディーは一人でも戦うと戦車から離れない、そして部下に向かって「皆逃げろ」と言い放つ。しかし4人の部下はここで戦うことを決心する。
ありったけの弾丸を確保し、戦車の前面に死体を括り付け、戦車の中で待ち伏せ攻撃の体制を整える。敵を充分引き付け戦車砲と機関銃の一斉射撃を行う。
ドイツ軍に多大な損害を与えたものの、弾丸が底をつき仲間が次々と死んでゆく、ウォーダディーも負傷し動けない、彼は一人残ったノーマンに戦車底部のハッチから逃げろと告げる、その時上から手りゅう弾を投げ込まれる。
間一髪ノーマンは戦車から脱出し、対戦車地雷で出来たくぼみに隠れる。ノーマンは若いドイツ兵士に発見されるが、若い兵士は何もせず、何故か通り過ぎて行った。
翌朝到着したアメリカ軍によってノーマンは発見される、そして「お前はヒーロー」だと言われる。破壊された「フューリー」の周りにはおびただしいドイツ軍兵士の死体が横たわっていた。
レビュー
戦争の悲惨さ、むなしさが残るラストだが・・・・・・実際の戦場はこんなものではなかったであろう。ここではいつもの通り米兵の視点で全編貫かれている。(ドイツ軍兵士の描き方が、徹底して非人間的に描かれている。)
ただ何故若いドイツ兵はノーマンを見逃してくれたのであろうか・・・・・ヒトラーの親衛隊と言えども、強制的に入隊させられナチスに反感を持った若者なのか・・・・・映画はなにも答えてくれない。
この映画は戦争をゲーム的に見てしまいそうな恐ろしさがある。・・・・・・反戦映画とするには、ブラッド・ピットがあまりにもカッコ良すぎる。
辰々
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