サマリー
2018年3月日本公開のアメリカ製作テロ未然に防止セミドキュメンタリー映画
監督 クリント・イーストウッド(硫黄島からの手紙、アメリカン・スナイパー、ハドソン川の奇跡、15時17分、パリ行き)
出演 ●スペンサー・ストーン(本人)
●アンソニー・サドラー(本人)
●アレク・スカラトス(本人)
●ジュディ・グリア(アントマン、猿の惑星:聖戦記、夜が明けるまで、15時17分、パリ行き)
●ジェナ・フィッシャー(15時17分、パリ行き)
クリント・イーストウッド監督は2014年 「アメリカン・スナイパー」
2016年「ハドソン川の奇跡」
そして2018年3月公開の「15時17分、パリ行き」とアメリカの英雄たちを描いてきた。この最新作では普通の人(軍人が2名いるが武器は持っていなかった)がテロリストを捕まえ大量無差別殺人を未然に防いだ逸話を題材にしている。
監督は英雄3人を本人として出演させている。こんな映画があるんだろうか?3人から当時の様子を事細かに取材し、全く同じ場所で、同じ時間、同じ人間、同じ服装、同じ荷物、同じ行動・・・で再現している。
この映画で監督が表現したかったものは「どのようにテロリストを捕まえたのか」そして「3人の英雄とはどんな男たちだったのか」の2点だ。従ってエンタメと言うよりセミドキュメンタリー映画と言った方がいいのかも知れない。
テロ事件の場面に英雄3人の子供時代から青年時代、軍隊に入隊してから、そして今回のヨーロッパ旅行の映像が挿入されている。彼ら3人の子供時代は問題児であった。そして子供時代から友情は現在まで続いている。
スペンサー・ストーンは太った体をⅠ年間て絞り上げ軍隊で通用する体を作り空軍に入隊する。アレク・スカラトスはカレッジ入学後に州兵となりアフガニスタンに赴任している。アンソニー・サドラーはカルフォルニア州立大学の学生だ。
クリント・イーストウッド監督の自然体的な映画作りが伝わってくる。派手な演出、アクション、CG画像、スローモーション、細かなカット割りなどは一切使っていない。
アクション系のハリウッド映画に慣れてしまっている我々にとっては少々物足らないかもしれない。しかしこれが事実であると言う事だ。もし自分だったらあの場面では体が固まって何も出来なかったかもしれない。彼らは自然に体が動いたと言っている。そして彼らには神も味方していた。
「タリス銃乱射事件」とは2015年8月21日に発生した、アムステルダム発パリ行き(15時17分)の高速鉄道タリス車内で起こったテロ事件だ。イスラーム過激派の男が自動小銃を持って列車を襲った。
列車には554名の乗客がいた、ところが偶然乗り合わせたアメリカの旅行者3名によって犯人は取り押さえられテロは未遂に終わった。アメリカの旅行者3名とは2名の軍人(スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス)と1名の学生(アンソニー・サドラー)だ。
そしてイギリスのビジネンマン(クリス・ノーマン)も彼らに加勢している。3名は友人同志だ、この偉業によって彼らにはオランド大統領からレジオン・ドヌール勲章が授与された。そして3人はオバマ大統領からホワイトハウスに招待された。
さらに犯人を取り押さえるときに負傷したスペンサー・ストーンには空軍からパープルハート章とエアマンズメダルが授与された。アレク・スカラトスには陸軍からソルジャーズ・メダルが贈られた。
彼ら3人はカリフォルニア州サクラメント出身で、町では彼らの帰国式典が大々的に行われ、町の英雄として沿道の人々によって賞賛された。
ストーリー
2015年8月21日、アメリカの旅行者3名スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス、アンソニー・サドラーはアムステルダム発パリ行きの15時17分高速鉄道タリスに乗り込む。
場面は変わり2005年、カリフォルニア州サクラメント。二人のシングルマザー ジョイス(ジュディ・グリア)とハイディ(ジェナ・フィッシャー)が学校に呼び出される。
学校の先生からスペンサー(ウィリアム・ジェニングス)とアレク(ブライス・ガイザー)は授業態度が悪く勉強に集中出来ないと小言を言われる。しかもこんな子供は片親の子供に多いと自分たちまで非難される。
怒ったジョイスとハイディは息子を別の私立学校に入れることを決心する。ところが新しく入学させた学校の教育方針も厳しく、いつも二人は校長室に呼ばれお説教をくらう日々を過ごす。
ここで同じ学校のアンソニー(ポール=マイケル・ウィリアムズ)と知り合う。彼も劣等生だった。三人は気が合ってよくあそんだが、別れの時が来る。
アンソニーは別の学校に転向し、アレクは父親に引き取られオレゴン州に行ってしまった。それから数年後アンソニーは大学に進学し、アレクは軍隊に入隊していた。スペンサーだけがスムージー・ショップで将来のあてなく働いていた。
スペンサーは突然、空軍に入ると言い出した。太った体を絞ることから始め、入隊のテストを受けるものの眼の奥行知覚検査で不合格となってしまった。バラレスキュー部隊入りは断念したが、救命処置を学びながら軍隊に留まる。
その後3人は休暇を利用して、ヨーロッパ旅行に行くことになった。ところが3人を大変な事件が待ち受けていた・・・。
ネタバレとレビュー
特急列車のトイレに入った男がなかなか出てくないと客が不審に思う。客と乗務員がトイレの前で待機していたときドアが開き、武装した男が出て来る。乗務員は慌てて乗務員室に鍵をかけて立て籠もってしまう。
客は慌てて通路へ逃げるが、拳銃で背中を撃たれる。銃声を聞いた乗客たちは隣の車両に逃げる。騒ぎを聞いたアメリカの旅行者3人は座席に潜み、テロリストを待ち伏せる。
テロリストが近くに来たときスペンサーが男にタックルし、後ろから羽交い絞めにする。それと同じくしてアレクが機関銃を取り上げる、そして拳銃も叩き落とす。男はナイフでスペンサーの首と左手に切りつけるが、アレクが機関銃の台座で一撃を何発か喰らわせる。
そしてスペンサーは男の首を絞め失神させ、両手・両足をネクタイで縛りあげる。アンソニーはその間乗客の避難誘導にあたる。
テロリストを完全に身動きが出来ない状態にして、拳銃で撃たれた乗客の応急手当をする。スペンサーは負傷者の傷口からの出血を指で抑える。イギリス人の乗客が負傷者の手当てを手伝う。
次の駅に列車は停止し、鉄道警察が乗り込みテロリストを確保するとともに負傷者を救急搬送する。ケガを負ったスペンサーも応急手当てし病院に搬送される。
テロリスト制圧は10数分で終わってしまうので、これを映画化するのに苦労したと思う。だから3人の子供時代から現在までのシーンを挿入せざるを得なかった。
スペンサーがテロリストにタックルするとき、神も味方したかもしれない、失敗すれば死が待っているからだ。
スペンサーとアレクは軍人だ、たとえ丸腰でも日々の訓練によって、テロリストへの対処方法が自然に頭に浮かび体が動いたと思う。この場所にもし僕がいたら対処どころか逃げるのに精一杯だっただろう。或いは体が動かずちびっていたかも知れない。
とにかく3人の英雄は命を懸けて乗客を守った。テロリストのバッグの中には300発以上の銃弾があったそうだ。
TATSUTATSU
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