【サマリー】
2014年公開のドイツ・イギリス合作のコメディ映画である。監督はウェス・アンダーソン、主演はレイフ・ファインズである。そのほかにも有名人が多数出演している。
絵画とか絵本のように美しく、真に「大人の絵本」と言えるかもしれない。アカデミー賞に9部門ノミネートされている、またベルリン国際映画祭の審査員グランプリを獲得している。
物語を一言で言ってしまうと「ホテルのコンシェルジュと若いベルボーイとの交友を描いた物語」であり、現実とはかなりかけ離れた夢の中の物語のように描かれている。
山の上の薄桃色のホテル、真っ赤なエレベーターの内部、紫色の制服、色とりどりのケーキと桃色の箱・・・・色彩もジックリ楽しめる。
かといって、エロチックな場面や殺人場面もあるので子供向けではない、れっきとした大人向けの映画である。
映画の中にはヨーロッパ流のジョークが満載されているが、僕にはどうもこれらのジョークがピンとこない、吹き替えで見たせいもあるかもしれないが、笑いのツボがヨーロッパの人々とはズレているのかなーと感じる。
さらに、日頃アクション、暴力、パニック、SF映画ばかり見ているせいもあって、やや退屈に感じた。まあ見て損はない映画だと思うので、ご覧になって自分で判断してほしい。
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【ストーリー】
ストーリーを少し紹介すると、老作家が昔を振り返る、若い時(ジュード・ロウ)にグランド・ブダペスト・ホテルに滞在したことがある。
ミスター・ムスタファ(F・マーリー・エイブラハム)は若い作家に昔を語る。彼はホテルのオーナーなのに粗末な使用人部屋で寝起きしている。そして老朽化したホテルはもう閉める時期に来ていた。
彼が言うには、かつてこのホテルはムッシュ・グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)と呼ばれるコンシェルジュの持ち物であった。
ホテルは大変繁盛していた、グスタヴはホテルの隅々まで気配りを怠らない、そしてご婦人方たちの夜の「おもてなし」にも手を抜かない、たとえ相手が老婦人であっても。
このホテルにはグスタヴ目当てに泊まりに来る高貴な夫人たちも少なくない。彼はある日マダム・Dと一夜を共にする。
その後、彼女は誰かに殺されてしまうがグスタヴに遺言で「リンゴを持つ少年」を譲り渡そうとしていた。面白く無い息子のドミトリー(エイドリアン・ブロディ)はグスタヴに母親殺しの罪をかぶせようとする。
グスタヴは絵を持って逃げるが、捕まって監獄に閉じ込められてしまう。ベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と彼女のアガサ(シアーシャ・ローナン)はグスタヴの脱獄を手助けする。
グスタヴは迎えに来てくれたゼロと国中を逃亡する。ドミトリーの部下で殺し屋のジョプリング(ウィレム・デフォー)は執拗に彼らを追いかけ亡き者にしようとする。
果たしてグスタヴとゼロは逃げ切ることが出来るであろうか、また絵の行方はどうなるであろうか。
【ネタバレ】
グスタヴはジョプリングにあわや殺されようとした時、ゼロの機転によって助かる。そしてやっと殺人の嫌疑も晴れる。
ゼロは家族全員を戦争で亡くし、単身ホテルに逃れてきた難民である。こんなゼロをグスタヴは我が子のように可愛がり、ホテルの仕事を教え込む。
ゼロは映画では純真で見ていて大変可愛い、彼女のアガサとは結婚の約束をする。ゼロはことあるごとに「彼女には手を出さないで下さいね」とグスタヴに念を押す。・・・・グスタヴは憮然とするが・・・見ていて面白い。
アガサはホテルの厨房でケーキ作りをしている従業員である。何故か右頬にメキシコ地図のようなアザがある。ゼロは夜な夜な屋根をつたわって彼女の寝室に忍び込む・・・・こんな場面も可愛い。
全体的に出演者全員がとぼけた顔で演技する。この一見真剣なようで間抜けな演技が笑いを誘う。兵隊役でエドワード・ノートンが出ているし、ホテルの受付係としてビル・マ
ーレイも出ている大変豪華な映画である。
ハッピーエンドかと思うとそうでもなく、かえって悲劇的に終わる。
グスタヴはゼロとアガサの3人で列車の旅をする。ところが検問所でゼロのビザが無いことが憲兵に見つかる。ゼロをかばおうとしたグスタヴは憲兵とケンカになる・・・・そして銃殺される。
グスタヴはゼロにホテルを相続させる。ゼロはアガサと幸せな生活をおくると思われたが、流行り病で彼女と子供を亡くしてしまう。
ゼロはそれから長い間、ホテルを守って行く、そして冒頭につながる。
最後はちょっぴり物悲しく、寂しい・・・・明るいコメディドラマとばかり思ってみていると最後はドンデンガエシされる。監督はこのドラマを通して何が言いたかったのかなー。
ハッピーエンドでも良かったんじゃない・・・・。
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