サスペンス

映画「ほの蒼き瞳」感想・評価:全員が容疑者、殺人事件解明に奔走する元警官とエドガー・アラン・ポー

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2023年1月6日Netflix公開 アメリカ製作 殺人犯人捜しサスペンスドラマ
監督・脚本 スコット・クーパー
原作 ルイス・ベイヤード「陸軍士官学校の死」(2006年)
出演 ●クリスチャン・ベール
●ハリー・メリング
●ジリアン・アンダーソン
●トビー・ジョーンズ

『ほの蒼き瞳』12月23日(金)より一部劇場公開

 

出てくる登場人物が全員怪しい、いったい殺人犯は誰であろうか。単独犯か、複数犯なのか・・・最後まで分からない。これだけ上質のミステリードラマは珍しい。残念ながら日本では見れる映画館が少ないようだ。Netfliには2023年1月から公開されている。お薦めだ・・・序盤で犯人が分かったらあなたは天才かもね。

舞台は1830年のニューヨーク州ウェストポイント「陸軍士官学校」。ここで士官候補生の無残な死体が発見されることから始まる。「陸軍士官学校」の校長と大尉は凄腕の元警察官オーガスタ・ランドー(クリスチャン・ベール)に犯人捜しを依頼する。

ランドーは士官候補生のエドガー・アラン・ポー(ハリー・メリング)に協力を依頼し、二人で犯人を追い詰めてゆく。エドガー・アラン・ポーは実在の人物だ。彼は1809年生まれだから事件当時は21才、1830年7月に陸軍士官学校に入学している。この部分は事実だ。この事実とフィクションが入り混じっている。

ここで面白いのはエドガー・アラン・ポー自身も犯人ではないかと疑われてしまう。出てくる登場人物が次から次へと怪しく見えて来る。これがこの映画のキモだ。

後で見返すと伏線がいろんなところにばら撒かれている。しかし、先入観が強く最後の最後までどんでん返しが分らない。なんてことのない映像が伏線だ。見逃さないように。

不思議なのは自殺に見せかけられ殺された死体が、死体安置所で「心臓」が抜き取られているのが判明する。そしてある場所に魔法陣らしきものがみつかる。犯人は「悪魔崇拝者」なのか。何のために儀式を行うのか・・・。しかも、死人は手紙の切れ端を握っていた・・・ここからも推理が始まる。

そして第二の犠牲者がみつかる。同様に殺され「心臓」が抜き取られている。さらに失踪者まで現れる。士官候補生は皆、次は俺かと震え上がる。何の目的で誰が彼らを襲うのか、そして「悪魔崇拝者」は儀式を継続する、何かを成就するために。

この映画の見どころは、犯人捜しのほかに、1830年当時の「陸軍士官学校」がリアルに再現されている。そして200年近く前の士官候補生たちの日常が細かく描かれ、市井の人々の暮らしも垣間見える。

芸達者な俳優たちを惜しげもなく使い、真冬のウェストポイントの背景の中で物語が当時のままにに進行してゆく。これだけリアリティを追求できるのは、日本円で100億円近くの製作費がかかっているからだ。こういう作品でこれだけ贅沢なお金が使えるのは、アメリカ映画ならではだね。

あなたもタイムマシンに乗りこんだつもりで1830年にタイムスリップしてはどうか。ひょっとしたらエドガー・アラン・ポーはこんな感じの人だったのか・・・面白いよ。

TATSUTATSU

 

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