サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2019年8月日本公開のイギリス・アメリカ合作の伝記ミュージカル
監督 デクスター・フレッチャー(ロケットマン)
出演 ●タロン・エガートン(キングスマン、キングスマン:ゴールデン・サークル)
●ジェイミー・ベル(スノーピアサー、ファンタスティック・フォー)
●ブライス・ダラス・ハワード(ジュラシックワールドシリーズ)
●リチャード・マッデン(ロケットマン)
「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」
エルトン・ジョンの伝記ミュージカルだ。彼のファンやミュージカルの好きな人にはお勧めだ。全編わたるドラマに彼の曲が加わりふわふわした夢の中を漂っているような作品になっている。
日本でも大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディー」と比較し、やや感動と盛り上がりに欠けるがそれなりのレベルはある。エルトン・ジョンは現在72歳、今でもツアーを精力的に行っている。
エルトンはこの映画を通して自分自身を知ってほしかったと述べている。彼は名声と引き換えにものすごく大きな代償を払っている。彼はゲイだが自分自身を「正直な人間」だと言っている。心無い周りの人たちによって傷つき、どん底に落ちてゆく。
ドラッグ、アルコール、セックス、過食、・・・におぼれ、自殺を図り、精神病も患う。でもそのどん底から這い上がり、今でも第一線の人気を維持している。私生活では同性パートナーのデヴィッド・ファーニッシュと充実した生活を送っている。
彼はイギリスの田舎町で育つ。そして作詞家バーニー・トーピンと出会いこれを契機にミュージシャンとして世界に羽ばたいてゆく。彼はバーニーに詩をもらい、それに触発されてメロディーを書き上げる。バーニーの詩を見るだけで曲が自然に浮かんでくるとは・・・やはり天才だ。
僕は彼のファンで、特に好きな「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」などは30分くらいで作り上げてしまったそうだ。「ロケット・マン」とは彼が1972年に発表したシングル曲の題名だ。
この映画の監督は「ボヘミアン・ラプソディー」の最終監督であるクスター・フレッチャーが起用されている。そして主演には「キングスマン」のタロン・エガートンが選ばれ、踊って歌れるというすごい才能を発揮している。
話の筋を少し紹介すると。イギリスの田舎町ピナーで生まれたレジオナル・ドワイトは厳格な父と子供に関心のない母との愛情の少ない家庭で育つ。彼は不仲な両親のもとで不幸な少年時代を過ごすが音楽の才能には恵まれていた。
彼はロックに傾倒し芸名を「エルトン・ジョン」(タロン・エガートン)と改め、ミュージシャンを目指す。レコード会社で作詞家のバーニー・トーピン(ジェイミー・ベル)と出会い、彼の詩に触発されてメロディを造りを始める。
彼との共作で作った「ユア・ソング」が注目されデビューする。そしてロサンゼルスの伝説的なライブハウス・トルバドールでのパフォーマンスが評判を呼びスターダムに駆け上がってゆく。
彼はスターとして人気の頂点に上ってゆくが心は満たされない。恋人でマネージャーだったジョン・リード(リチャード・マッデン)ともうまくゆかずドラッグやアルコールにのめりこんでゆく。彼はついに自殺未遂を図る・・・。
その後のストーリーとネタバレ
エルトンは大量の薬を服用しプールに倒れこむ。しかし、周りの人々によって助けられ一命をとりとめる。そして、それを契機に彼は生まれ変わる。
エルトンはバーニー・トーピンと久しぶりに会い、原点からの復帰を誓う。ドラッグ、アルコールを止め、新たなエルトン・ジョンとして再度表舞台にのぼる。
当時の彼の心境を歌にした「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」、スターのきらびやかな世界を後にしてシンプルな世界に戻ろうとする。
今では、エルトンはドラッグ、アルコールを止め続け、自分の本来の道を歩み続ける。ただ、現在も買い物依存症だけは治っていない。
レビュー
エルトンの曲が次から次へと出てきて、彼のファンにはたまらない。歌と不思議な映像がシンクロする。彼の心の中を映像化してみせることに成功していると感じる。
人間の能力をPCに例えると、DNAはCPUだそして努力や経験はデーターベースになる。音楽家の才能はほとんどがDNAと言われている。
https://youtu.be/ZB27uETW32M
エルトンは一度聴いた曲をピアノで再現できる絶対音感の持ち主だ。きっと彼の先祖に凄い音楽家がいただろうと想像できる。歌詞を見ただけでメロディが自然に湧き上がってくるとは、彼はやはり天才だ。
TATSUTATSU
「ミュージシャン映画ベストテン」もよろしく。
この記事へのコメントはありません。