サマリー
2014年公開のドイツ映画、監督・脚本・撮影バーナード・ローズ、主演・制作総指揮・音楽デイヴィッド・ギャレットである。
悪魔に魂と引き換えに手に入れたと信じられている超絶技巧。それを操る伝説のヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ・・・・彼が演奏する時、確かに彼に何かが乗り移っている。
そして彼の演奏は聞く人々の魂を揺さぶり、恐れさえ感じさせる。
ショパン、リスト、シューベルトを魅了した彼の誰にも真似できないと言われている演奏、今回若手実力派ヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットが5億円のストラディヴァリウスで挑戦する。
ストーリーはやや凡庸だが、彼の演奏は素晴らしい、僕はDVDで観たが、本来は音響のいい映画館で見るべき作品だと思う。
この映画を観ているとヴァイオリンがこんなにも幅の広く奥深い楽器だったとは。是非200年以上前に実在した天才音楽家の物語を演奏と共に堪能してほしい。
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ストーリー
ストーリーを少し紹介すると、パガニーニは5才でバイオリンを習い、13才で何も習うことがなくなってしまった。そのため彼は自分の曲を作り始める、そして自己流のオリジナルな演奏技法も身につけてゆく。
しかし彼は、破滅型天才で、酒と女とギャンブルにのめりこみフシダラな生活を続ける。ある日彼のもとにウルバーニ(ジャレッド・ハリス)という腕のいいマネージャーが現れ、彼と契約を交わす。
彼はある意味において悪魔なのかもしれない、パガニーニ取りついたヒルのように彼の才能を切り売りして利益を上げてゆく、しかしウルバーニのマネジメントがなければ大成功を収めることもなかったであろう。
そんな名声を聞いたジョン・ワトソン(クリスチャン・マッケイ)は自分の財産をはたいてまでパガニーニをロンドンに呼び寄せようとする。
ロンドンの演奏会にやって来たパガニーニはワトソンの邸宅に宿泊する。そこで、彼はワトソンの娘シャーロット(アンドレア・デック)の歌声に聞き惚れ、彼女に自分の曲を歌わせる。そして彼女を愛してしまう。
しかし、ウルバーニは彼らの愛を強引に引き裂く、パガニーニの才能は狂気の中でのみ花開く、真実の愛を知ってしまったら才能の泉が枯れてしまうと考えたのかも知れない。
ロンドンの演奏会は大成功に終わり、彼の名声は不動のものとなる。しかし、彼はシャーロットを追い続け、満たされない愛はロンドンから離れたのちまで彼を苦しめる。
ある日、パガニーニはウルバーニに向かって「お前は悪魔なのか」と尋ねる、彼は「あなたこそ悪魔です、私はあなたの使徒にすぎない」と答える。
そしてパガニーニの才能に陰りを感じたウルバーニは彼のもとを去って行く。
レビュー
僕が感動したシーンは、パガニーニが町の酒場で、即興演奏する場面である。酒に酔った連中とケンカになりかけたが、彼が演奏し始めると誰もが我を忘れて聞き惚れる。そして、弦が一本、二本と切れてゆく、最後に残った一本の弦で完璧な演奏を続ける。
次に、コンサートの場面である、聴衆はいつまでたっても出てこないパガニーニに苛立ちを覚える。聴衆の怒りが頂点に達した時、舞台ではなく客席からパガニーニが演奏しながら入ってくる・・・ニクイ演出である。
女性はパガニーニの周りに集まり、失神する人も出てくる、そして彼は狂ったように超絶技巧でバイオリンを奏でる。アンコールに、シャーロットの清い歌声と一緒に演奏する。
「パガニーニの指は誰よりも長くしなやかであったと言われている。これはマルファン症候群によるものではないかとの説がある。」
「彼は40才の時に梅毒と診断され水銀治療を行う、さらにその後結核にも犯される。晩年の彼は病魔との戦いであったらしい。最後には水銀中毒で亡くなっている。(享年57才)」
「彼の遺体は悪魔説から、何処の墓地でも引き取りを拒絶されている。彼の遺体は防腐処置を施され、86年間各地をさまよう、その後ジェノヴァの共同墓地に埋葬されたとのことである。」
いくら文章で書いても、彼の演奏はなかなか伝えきれない・・・・やっぱり映画を観るしかないね。
TATSUTATSU
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