【サマリー】
2002年日本で公開されたアメリカ戦争映画、監督はリドリー・スコット、主演はジョッシュ・ハーネットである。アカデミー賞に4部門ノミネートされ、編集賞と音響賞を獲得している。
僕は3~4回程観ており、お勧め映画である。
戦争映画として最高傑作で、あまりにも臨場感豊かで画面にぐいぐい引っ張られまさに手に汗を握る映画である。
監督のリドリー・スコットが脂ののりきった時の作品で、実際にソマリアの首都モガディシュで起こった戦争を題材にしている。圧倒的な戦力を誇るアメリカの精鋭部隊が市街戦で大苦戦を起こし多数の死傷者を出す。
本当の戦争はこんな状態だろうね。民間人も戦争に巻き込まれてしまう、もうこうなっては誰が敵か味方か全く分らない。
アメリカも二機のブラックホーク(多用途ヘリUH60)が撃墜される。いくら近代装備を持っていても最後は人間どうしの肉弾戦で戦争の悲惨さが伝わって来る。
【ストーリー】
ストーリーを少し紹介すると、アメリカは民族紛争の続くソマリアへ派兵する。内戦を終結させようと最大勢力ババルギディル族を支持する形で、和平に反対のアイディード将軍の副官2名を捕えることが任務であった。
作戦の指揮官はウィリアム・F・ガリソン(サムシェパード)少将で約100名の特殊部隊が首都モガデッシュに投入された。
作戦が順調に行けば1時間足らずで任務は終了する予定だった。ところが油断していたつもりではないだろうが、軍の動きを早くに察知していたアイディード将軍派の民兵と銃撃戦になってしまう。
この銃撃戦のさ中、相手の対戦車ロケット弾によって予想もしない2機のブラックホークが撃墜されてしまう。ここから歯車が狂い始める、敵地の真っただ中に墜落したヘリの乗り組み員を救出するため大勢の兵士が投入される。
そして泥沼の戦いに引きずり込まれて行く。
【レビュー】
出演俳優はジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、エリック・バナ、オーランド・ブルーム、トム・サイズモアなど多数出演しており、男臭い映画で女性向きとは言えないかもしれない。
ハンニバルのヒュー・ダンシーやインセプションのトム・ハーディも出ているよ、見つけてね。
実際の撮影はモガデッシュの地形に似ているモロッコで行われたとのことである。
ブラックホークが墜落するシーンは実に迫力がある本物のヘリとCGをうまく合成したものである。画面ではCGとは全く感じさせない、映像の技術はここまで進歩したものかと驚く。
そしてスローモーションも実に効果的に挿入されている。・・・これによってヘリの重量感が増している。実際にこのモガデッシュで戦った軍人が出演している、また彼らの意見も映画に取り入れられている。
随所に目を見張るシーンが連続する、映画全体としてリアリティーを追求した結果だと思う。主演のジョシュ・ハートネットはレンジャー第4チョーク班長マット・エヴァーズマン二等軍曹を演じており実在のモデルがいる。
マットは約10名程の兵士を率い、戦場を駆け巡る。彼の判断には部下の生死がかかっており、その重圧は並大抵のものではないことが伝わってくる。
銃弾に倒れた血だらけの兵士が運ばれてくる、彼が助からないことは誰が見ても分る。皆で生きろと励まし懸命の手当てをするが・・・・しばらくして彼は死ぬ。
死傷者を乗せた軍用トラックが市街地を猛スピードで走る、ところが道路は封鎖され迂回しなければならない。迂回道路には敵が潜んでおり、両側のビルから一斉射撃される。やっとのことでそこを通り抜け気がついたところ運転手以外はほとんど亡くなっていた。
マサに自分が戦場にいるような錯覚を受ける。
後にこの惨劇の責任を取ってウィリアム少将は軍を去る。彼は重荷を背負って生きることになるが死んだ人間は生き返ってこない。
そもそも敵がひしめく市街地のど真ん中にブラックホークで乗り付けること自体がおかしい。アメリカ軍精鋭部隊の過信と敵民兵の過小評価が最悪の結果を招いてしまった。
この映画はアメリカ軍の視点で描かれている。最後の方で安全地域にたどり着いた兵士を囲むようにソマリアの子供たちが群がる・・・・・ソマリアの人々が目立つのはこのシーンぐらいである。
デルタフォースのノーマン一等軍曹(エリック・バナ)は戦場からやっと戻ってきたにもかかわらず志願して、再度戦場に向かう・・・・・・何故か?戦場に仲間を置き去りにはしない・・・たとへ死体であったとしても・・・彼の心にはこの言葉が強く響いている。
この戦いでアメリカ軍は多数の犠牲者を出し、大きな教訓を得たと聞いている。その後のアメリカの戦いは空爆が主体で、さらに無人機攻撃となってゆく。
近未来の地上戦はロボット主体になっていくのだろうか?大変考えさせる映画だ。
辰々
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