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アニメ映画「JUNK HEAD」感想・評価:キモカワイイ、ストップモーション・アニメの傑作

サマリー

 


★★★☆☆(お薦め)

2021年3月26日公開 日本製作SFストップモーションアニメ
監督・脚本・その他 堀貴秀

【公式】映画『JUNK HEAD』予告編/3月26日(金)公開

 

堀貴秀監督は狂っているとしか考えられない、こんなガラクタのような作品をほぼ一人で7年もかかって製作するだなんて。2013年に30分の短編「JUNK HEAD 1」を完成、自主上演する。そしてこれをもとにして99分の長編「JUNK HEAD」を2021年3月に公開している。

とにかく一度見てほしい。あまりのユニークさにびっくり、どっきりだ。そして国内外の映画祭で絶賛されている。特に変態系のファンには突き刺さる映画だ。あの変態監督、ギレルモ・デル・トロもご執心だ。

ストップモーション・アニメーションとは、静止している人形などを1コマ毎に動かしてカメラで撮影する。そしてそれをつなげて動いているかのように見せる撮影技術だ。異常なほど根気と時間がかかる。一秒間に12枚程度の写真でオーケーだが、彼は24枚の写真を使っている・・・ここまでしなくてもと思うのだが妥協しない。

堀貴秀監督は内装業をしながらこの作品を作り続けているから、世間からみれば変人・奇人の部類に入る。でもれっきとした芸術家だ。しかも変態・カルト・偏執芸術家(誉め言葉)ともいえる。

ストーリーを少し紹介すると、人体を機械などの無機物に転化することによって不老不死を手に入れた人類。しかし、これによって生殖機能を失くしてしまう。さらに新種のウイルスが大発生して、人類は滅亡の危機にさらされる。

そんな中、人類がはるか昔に作り出した人工生命体「マリガン」が生殖能力を持っている可能性がある。との認識から地下世界の探索を始める。

この探索に志願したパートンは地下深く降下する。ところが途中、地下住民のミサイルによって破壊される。しかし、彼の頭部はマリガンの3バカ兄弟に拾われる。

地下の研究室にいる博士に渡った頭部は体をくっつけられて雑用ロボットとして使われる。さて彼は当初の目的を思い出し、人類を助けることが出来るのか。

地下深くには、「トリムテ」と呼ばれる狂暴な生物がいる。この生き物が厄介だ、食べられそうになって必死に逃げる。その他には女性型マリガン ニコや触手を持った男性型マリガン ホクロが出てくる。誰が敵やら見方やら面白過ぎて目が離せない。

NHK Eテレ BUZZ CREATORS「映画監督 堀 貴秀 たった一人の映像革命」にて監督の作業風景が放送された。今年のお正月にも再放送でやっていて偶然見た。

出演クリーチャーをいったい一体手作りのシーンではその鮮やかな手さばきに感心する。彼は日本中のクリエーターに対し、「諦めろ」とエールを送っている。多くの芸術家が世の中にいるが日の目を浴びるのはほんの一握りだ。堀もその一人だったが今は脚光を浴びている。

彼は「自分は親不孝者」だと言う。「JUNK HEAD」完成間近に父親が他界している。もっと早く出来ていれば父親を喜ばすことが出来たに違いない。

次回作「JUNK WORLD」は2024年の完成を目指している。期待を裏切らない作品になると思う。何故ならこんなユニークな作品を作ることが出来るのは彼だけだから。

最後に堀貴秀監督は新海誠監督に影響を受けている。新海誠監督もほぼ一人でアニメを映像化させている。二人とも似たもの監督と言える。

TATSUTATSU

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