サマリー
★★☆☆☆(そこそこ面白い)
2018年日本公開のスペイン・アイルランド・ベルギー・フランス合作サスペンス映画
監督 ジャウマ・バラゲロ(REC/レック、ミューズ)
出演 ●フランカ・ポンテ(ボーン・アイデンティティー)
●クリストファー・ロイド(バック・トゥ・ザ・フューチャー)
●エリオット・コーワン
●アナ・ウラル
●ジョワンヌ・ウォーリー(パウロ愛と赦しの物語)
大どんでん返し系ドラマだ。ミューズとは何者か?サスペンス要素の高い物語で、監督のジャウマ・バラゲロはホラー映画「REC/レック」シリーズで有名だ。ソコソコ面白いのでお暇な人にはお薦めだ。
ミューズとはギリシア神話の女神だが、ここに出て来るミューズは魔女のことか。何世紀も前から7人の女神(映画では彼らと呼んでいる)はひっそりと生きてきた。そして7人の女神は7人の詩人に憑りつく。
この女神の存在は5人の学者によって研究され、明らかにされようとしていた。この7人の名前とは・・・・
1.招待
2.導き
3.欺き
4.罰
5.予言
6.情熱
7.秘匿
とされる。学者がこの真実に近づきかけた時、4人は不慮の事故で死に、一人は行方不明となった。不思議なことに4人の体には「詩」が刻み込まれてあった。
7人の女神と白い輪の伝説とは・・・「信じがたいほどの悪の超自然体」「呪文で詩を唱える不老不死の魔女」などと表現され彼らは闇の世界に君臨していた。
話のスジを少し紹介すると。サミュエル(エリオット・コーワン)は古典文学の教授だ。生徒のベアトリスと密かに交際している。ところが彼女は「永遠に愛してほしい」と懇願し、浴室で手首を切って自殺してしまう。
サミュエルは気が動転する。そしてそれ以来毎晩、女性が殺される夢を見る。ところがこれと全く同じ状況で殺人事件が発生する。遺体は白いサークルの中でのどを切られて死んでいた・・・典型的な儀式殺人だ。
サミュエルは予知夢を見たことになる。理由が知りたくて、こっそりと殺されたリディアの家を訪ねる。そこで偶然にも同じ夢を見た、レイチェル(アナ・ウラル)と知り合う。
そしてリディアの家から水槽に入った大きな卵状の物体とある写真を見つける。サミュエルはこれらのことを大学の同僚で教授のスーザン(フランカ・ポンテ)に相談する。写真には聖ジュード大学の5人の学者たちが写っていた。
ところが、サミュエルの家に邪悪で不思議な少女が現われ「水槽で見つけた心像(イマーゴ)を持ってこい」と彼を苦しめ脅迫する。
慌てた、彼はレイチェルから卵状の物体を受け取り、指定の場所へと向かう。前日に、彼は5人の学者の唯一の生き残り、ラウシェン教授(クリストファー・ロイド)を探し当て、彼から話を聞いていた。
女神の詩を聞くと、死んだ魚が生き返る現象を目の前で見せてくれた。彼女らは詩を唱えることによって生き物の「生」を操ることが出来る。そして詩によって人々が次から次へと死んでゆく・・・かかわるなと忠告をくれた。
サミュエルはイマーゴを彼女らに渡し、無事帰って来られるのだろうか。そして何故、彼が予知夢を見たのか・・・選ばれた人間なのか?
その後のストーリーとネタバレ
サミュエルは卵状の物を彼女らに渡したが、中にはイマーゴは無く砂しか入っていなかった。彼女らはもう一度チャンスを与えるとサミュエルにイマーゴを取りにゆかせる。
彼はレイチェルを訪ねる。彼女はイマーゴを持っており、「これは私の物だ」と言う。彼女は7人の内の一人「情熱」だったのだ。彼女には幼い息子がいた、掟を破って出産してしまったのだ。
そのため、イマーゴを土に埋められ、記憶や能力を奪われて人間社会の悪に売り飛ばされてしまった。イマーゴを持った今、記憶が戻ってきたのだ。
そして殺されたリディアは「予言」だったのだ。この二人は人間の感情を持っており、残る五人と敵対していた。リディアから半年前に預かったサミュエル宛ての手紙を持っているとラウシェン教授から連絡があった。
教授のところに行くと、彼は残忍な方法で体を斬りつけられ虫の息だった。サミュエルは手紙を見つけると慌てて部屋をあとにする。
リディア=「予言」は自分の未来を知っていた、殺されることも。手紙には「秘匿」の居場所のヒントが書かれてあった。そんな時に、レイチェルの息子が彼女らに誘拐される。
もう一刻の猶予もない。手紙に書かれた、ボートレーン精神科病院1007号室に急ぐ。レイチェルから不思議な話を聞く。「秘匿」は何処かに隠れている。彼女を捕まえ、白いサークルの中で殺せば7人のミューズは全員死ぬ。
サミュエルは驚く、レイチェルも死んでしまうのか・・・。手紙の中にあるキーを1007号にあるロッカーに差し込む。中には鏡があり、サミュエルの顔が映っていた。「秘匿」=自殺したベアトリスだったのだ。そして隠れ家はサミュエルの心の中だ。
「秘匿」は宿主に危険が迫ると出て来るはずだ。レイチェルはバスタブに水を貼り、その中にサミュエルの腕を入れ、手首を切る。
血が浴槽に広がり、彼の意識が朦朧とする。その時、バスタブからベアトリスが現われる。彼女を捕まえ、白いサークルの中に押し込む。
同時に彼女らがレイチェルの息子を連れて現われる。サミュエルは昔、愛していたベアトリスの首を斬ろうとしていた。彼は躊躇したがレイチェルが「やりなさい」と強く叫ぶ。
彼はナイフで首を斬る。それと時を同じくしてレイチェルを含めた彼女らが倒れる。全て終わった・・・。サミュエルはレイチェルの息子を引き取り、この出来事を小説として書き残す。
レビュー
ダンテの「神曲」、ミルトンの「失楽園」などと神話の中の7人の女神と組み合わせたところがユニークだ。昔の偉人は女神(ミューズ)に触発されて物語を執筆した。詩=死によって人間の生を操る魔女とは面白い。
魔女の中にも人間の「愛」を感じられるものが現われ敵対する。だからこの物語は魔女同志の戦いと言える。スペイン作家ホセ・カルロス・ソモーサの小説の映画化だ。
魔女とは恐ろしいものだが彼女らは詩が唯一の攻撃方法だ。詩を耳元でささやくとその人間は無残な方法で死んでゆく、そして体には詩の文字が残る。残忍だがエレガントな殺人方法だ。
ハリウッドではなくてヨーロッパ的なテイストを持ったところこの映画の魅力がある。ところで映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てきた「ドク」ことクリストファー・ロイドが出てきて懐かしいね。
TATSUTATSU
この記事へのコメントはありません。