ホラー

映画「アティカス・インスティチュート恐怖の人体研究所」感想・評価:人間に憑依した悪魔の最新兵器化の悲劇

サマリー


★★☆☆(そこそこ面白い)

2015年アメリカ製作モキュメンタリー・ホラー映画
監督 クリス・スパーリング(アティカス・インスティチュート
出演 ●リア・キルステッド
●ウィリアム・メイポーザ

7/8発売 『恐怖の人体研究所』トレーラー

 

低予算B級映画だ、気持ちの悪い映画だからパスしてもかまわない。超常的な能力の研究はソ連の方が進んでいた。特に有名なのがニーナ・クラギーナ(1926年~1990年)だ。彼女は念力でモノを動かすことが出来た(透視能力も持っていたと言われている)。

1970年の解剖したカエルの心臓を止める実験は有名だ。彼女の念力によってカエルの心臓は止まり、しばらくして動き出す。しかし、この超能力は彼女にとって割に合わない。何故なら彼女が念力を使う場合、血圧も脈拍も上昇し、脊髄には刺すような痛みが走る。

実験後には体重減と頭痛や不整脈に悩まされるのが常だったからだ。晩年には実験に耐えうる体力がなくなってしまった。彼女が実験を行うときには高度な精神の集中が必要だ。彼女の体半分に放電によるエネルギー場が形成されていたと言われている。

このドラマはモキュメンタリー形式で作られている。アメリカのアティカス研究所では第二のニーナを見つけようと必死だった。当初、彼女に近いのがノーマン・ラクレアだった。ところが彼の助手が腕時計に仕込んだ強力な磁石で物を動かしていたことが判明する・・・研究所は大打撃を受ける。

この超常的能力の研究は詐欺師との闘いだ。自分が超能力者だと言う人々の多くは誰にも分からない「タネ」を持っている。「タネ明かし」された時には超能力者は本当にいるのかと思ってしまう。しかし、純粋な超能力者は必ずいると思う。

被験者とつい立を隔てて図形を当てる実験を行う。普通の人間でも20%は当てることが出来るそうだ。ところが30%当てる人がいる。そして何百回テストを繰り返してもこの数値は変わらない。この10%の差は何なのか、この差は超能力と言えるのか。

話のスジを少し紹介すると。研究所の責任者ウェスト博士(ウィリアム・メイポーザ)は超常的な力は必ず実在し、それを偏見なく研究することに真の科学があると考えている。

ジュディス(リア・キルステッド)と言う女性が研究所にやってくる。彼女の振る舞いや行動にはおかしなところが多いが優れた超能力を持っていた。モノを簡単に動かすことが出来る。しかも、その力はずば抜けている。

ジュディスにカエルの心臓を止める実験を行わせたところ、心臓を止めるどころかカエルは破裂する。そして少し離れたところにいる兵士の呼吸を止める実験では危うくその兵士を殺しそうになる。麻酔ガスを彼女が隔離された部屋に送り込み事なきを得た。

彼女には何かが宿っていた。その何かとは「悪魔」なのか?この事実を知った軍は彼女のあの力をコントロールすることが出来れば、兵器化が可能と考える。果たして彼女を操ることが出来るのか・・・。

その後のストーリーとネタバレ

軍は専門家を派遣しジュディスの組織サンプルや血液などを集め極秘に研究を進めた。そしてこの秘密が外部に漏れないよう厳重な警備態勢を敷いた。この情報はホワイトハウスにも報告された。

1976年10月17日、ハイパースペクトル撮影を実施した。この時、ウェスト博士が突然倒れる。彼はてんかん持ちではない、何故倒れたか不明だ。しかし、この出来事は彼女が誘発したのではないかと推測される。この日から博士は悪夢に悩まされることになる。そして彼の容体は日増しに悪くなってゆく。

彼女が何故、これだけの特殊能力を持つのか科学の観点から調べたが全く説明がつかなかった。ただ、血液検査では電解質値が異常に高いことが指摘された。また、未知の化学物質もみつかった。これらを総合すると「彼女の中には何か邪悪なものが潜んでいる」としか考えられない。

ジュディスはもの凄く危険だ。ガラスで仕切られた部屋に拘束し、万一の場合には麻酔ガスが部屋に充満するようになっている。そして鎮静剤も投与できるように点滴が施される。

軍は彼女の能力をコントロールするため頭部に電気刺激を与える。こちらの言う事をきかなければ容赦なく電流を流し苦しめる。さらに彼女を徹底的に苦しめ、こちらの要求をのませようとした。

彼女は不思議な言葉を発する。当初それは解読できなかったが分析官たちによって解読できるようになった。「お前は何者だ」「宿主をどうやって選ぶのか」など質問を浴びせる。彼女は「もうすぐ終わる」と答えるのみだった。

彼女は電気ショックよりも、悪魔祓いやキリスト教に関係する「聖なるもの」を恐れた。軍は彼女の中の「何か」を兵士に憑依させ軍事的な兵器として役立てようとしていたのだ。彼女の力を制御できれば、遠く離れた人を操ったり、場合によっても殺害することも可能だ。

彼女を責め続けていたときアクシデントが起こる。彼女が大声を発した瞬間、部屋の物が破壊され、そこにいる人々まで巻き添えになった。多くの人々が犠牲になって死んだのだ。

彼女の中の何かを制御しようとした試みは完全に失敗した。その後、ビデオカメラに写った映像は・・・ウェスト博士が突然現われ、正気に戻ったジュディスの心臓を破裂させ、失踪した。その後40年経っても博士の消息は不明だ。

レビュー

彼女をハイパースペクトル撮影したとき、体から「何か」が出たり入ったりしているのが見られた。それは「悪魔」なのか?そしてそれは少しずつウェスト博士を蝕む。

彼女をコントロールしようと軍はあの手この手と手段を試みるが結局、操られていたのは自分たちだった。「悪魔」は彼女の体からウェスト博士に乗り移る。そして失踪する。

結末が尻切れトンボのような気がするね。最初は超能力者のドラマかと思ったが途中から「悪魔憑依ドラマ」になってしまっていたとは。でも、低予算映画としてはまあまあの出来か。

事実を織り交ぜドキュメンタリータッチにしたことが成功につながったように思う。

TATSUTATSU

 

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