サマリー
2013年公開のアメリカ伝記映画、監督はジョシュア・マイケル・スターン、主演はアシュトン・カッチャーである。
スティーブ・ジョブズは皆さんご存知の通り、アップルの創業者である。この映画では1971年から2011年の彼を描いている。アシュトン・カッチャーがスティーブ・ジョブズに実によく似ている、そっくりである。
ソニー : 1946年設立 直近売上7兆8000億円 時価総額4兆円
パナソニック: 1918年設立 直近売上7兆7000億円 時価総額3.9兆円
アップル : 1976年設立 直近売上約20兆円 時価総額83.6兆円
設立年がソニー、パナソニックよりかなり遅いにもかかわらず、今では時価総額世界トップである、ジョブズは一時期アップルを追放されていたが、復帰してからの彼の業績は凄く、わずか十数年で時価総額を10倍にしている。
企業とはリーダー(CEO)次第であるのが良く分かる、彼が復帰してから次々と発売する商品が爆発的人気を得る。iMacが出た時にはあまりの可愛さに欲しくてしょうがなかった。どれもこれも魅力的で欲しい商品ばかりである。
iMac
iPod
iPhone
iPad
ジョブズは消費者が欲しいものを作る、彼の物づくり思想はこの一点である。彼はどんな犠牲を払ってでも商品を完成させる、商品のデザイン・質、使いやすさの追求、うきうき感などに湯水のようにコストと時間を使い妥協しない。
その為過去には大きなプロジェクトが何回も高コストによって頓挫しかける、あまりにも消費者本位を考えるので、良いものを作ってもコストがかかり過ぎて赤字になってしまう。
また彼は独善的で完全主義者である、そして冷酷な面を持っている・・・・・もとの彼女との間に出来た子供を認知しない、創業当時から苦楽を共にしてきた仲間を切り捨てる、自分の意に沿わない者や能力の無い者を首にする・・・・彼のもとを去って行く技術者も多かったに違いない。(一緒にスタートしたスティーブ・ウォズニアックでさえも退社している。)
天才にありがちな、周囲との適応能力の欠如による孤独を常に抱えていたのではないだろうか、この映画ではそんなところも描かれている。
何故、ソニー、パナソニック、シャープ・・・・・・など日本の家電業界が凋落していったのか、そしてアップルが何故全世界に受け入れられていったのか、この映画を観ながら考えるのも面白い。
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ストーリー
ストーリーを少し紹介すると、ジョブズ(アシュトン・カッチャー)はリード大学へ進学したものの2年足らずで中退し、ビデオゲーム会社の「アタリ」に入社する。
1976年スティーブ・ウォズニアック(ジョシュ・ギャッド)と組んで、当時では考えられなかった個人が持つパーソナルコンピューター(PC)の開発に着手する。そして資本家のマイク・マークラ(ダーモット・マローニー)から資金を得て、会社名をアップルとし、伝説的な名機AppleⅠ、AppleⅡを世に送り出す。
AppleⅡ
AppleⅡは爆発的に売れ、アップル社に莫大な利益をもたらす。しかし巨人IBMもPCに参入する、市場のシェアは奪われてゆくが、Lisa(リサ)・Macintosh(マッキントッシュ)プロジェクトに活路を見出す。
Macintosh(マッキントッシュ)
ジョブズはプロジェクトの主導権において、社長のスコットと対立するがマイク・マークラによってスコットは社長を解任される。
ジョブズは次の社長にペプシコーラの事業担当社長をしていた、ジョン・スカリー(マシュー・モディーン)を引き抜く。
ジョブズとスカリーとの仲は当初順調に行っていたが、ジョブズのあまりにも独善的な行動と業績の悪化から、彼はジョブズをアップルから追い出してしまう。
ジョブズは自己資金によってNeXT社を立ち上げ、新型PCの開発に没頭する。
しばらく後、アップルの低迷を打破するために、アップルの暫定CEOとして呼び戻される、そしてその後CEOとなり、今語り草になっている快進撃が始まる。
レビュー
ジョブズはアップルを追い出され後、アップルに呼び戻されるが、その時には彼は一回り大きくなっていたと思われる。
ただ、彼はCEOに就任するや、古株の重役を全て解任し、自分に近いメンバーだけで首脳陣を固めている、マイク・マークラでさえも追い出してしまう。
アップルの古い体質を除去し、新鮮なメンバーでアップルを生まれ変わらせたと言える。経営者として冷徹な面も見せてゆく、しかしアップルが生まれ変わって行くには仕方のないことかもしれない。
彼は情熱的な技術者として素晴らしい商品を世に出してゆくとともに、経営者として冷静な面も持たなければこれだけ大きくなった組織をコントロールできなくなって来ている。
しかし、いまだにアップルはジョブズのワンマン企業と言われている。彼は56才の若さで亡くなっているが、これから先アップルが快進撃を続けられるかどうか見ものである。
TATSUTATSU
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