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「ウィッチ」映画の感想と評価:娘が魔女へと変身してゆく恐怖の物語


サマリー

2017年日本公開のアメリカ・カナダ合作のホラー魔女映画
監督・脚本:ロバート・エガース(ウィッチ)
出演 ●アニャ・テイラー=ジョイ(ウィッチ、モーガン プロトタイプL-9、スプリット)
●ラルフ・アイネソン(ウィッチ)
●ケイト・ディッキー(ウィッチ)
●ハーヴェイ・スクリムショウ(ウィッチ)

赤ん坊を連れ去ったのは誰…?ダークファンタジーホラー『ウィッチ』予告編

全編に渡り暗い、しかもジワジワと恐ろしさが襲ってくる。全く新しいタイプのホラーだ。第31回のサンダンス映画祭 監督賞を受賞した意欲作で、しかもロバート・エガース監督の初長編映画だ。

真綿で首を絞められるような恐怖感は見ていていたたまれない。監督はニューイングランド地方などに伝わる民話と魔女の伝説を合体させダークファンタジーに仕上げている。

森は恐ろしい所だ、決して深く踏み込んではならない。中には何が待ち構えているか分かったもんじゃない。グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」では口減らしのため幼い兄と妹が森に捨てられる。また「赤ずきん」では森の奥に出かけた女の子が狼に食べられてしまう物語だ・・・そんな怖さを森は秘めている。

派手な映像や演出はしていないがそれが返って効果的に恐怖を盛り上げる、もうちびりそうだ。とにかく暗い映画だから落ち込んでいる時にはパスしよう。家族が一人ひとり死んでゆく、そして後に残ったのは・・・。

トマシン役のアニャ・テイラー=ジョイが少女から大人になって行く妖艶さをうまく表現している。彼女は「スプリット」にも出ていて今や成長株だ。

ある敬虔なキリスト教徒の家族は教会と対立し、村(入植地)を出てゆく。父親のウィリアム(ラルフ・アイネソン)と妻のキャサリン(ケイト・ディッキー)は幼い子供5人を連れて森に近い村はずれの荒れ地に居を構える。

彼らは迫ってくる冬を乗り切ろうと準備に余念がないが、お金も食料も春まで持つかどうか分からない。そんな時、赤ん坊のサムをあやしていた長女のトマシン(アニャ・テイラー=ジョイ)が目をつむっていた瞬間にサムが居なくなる。

赤いローブを被った女が森の中へ子供を抱いて走り去る。子供は殺され細切れにされ、女はそれを体に塗りたくる。女は魔女なのか木の枝にまたがって月に向かって飛び立つ。

家族は必死に探すがサムは見つからない。ここから家族は崩壊してゆく。彼らはキリストに祈り、救いを求めるが、神は振り向きもしない。

ウィリアムは長男のケイレブ(ハーヴェイ・スクリムショウ)を連れて狩りに出かけるが、獲物は一匹も取れない。ウィリアムは銃の使い方さえ知らない父親だった。

夜になってトマシンはヤギの世話をしに小屋に入ったとき、不思議なウサギを見る(悪魔の化身か)。家族は皆、村から離れて荒れ地に来たことを後悔し始めていた。

夜明けにトマシンとケイレブは馬に乗って狩りの為に森に入る。森の中で不思議なウサギに出会い、馬は怯える。そして犬のファウラーはウサギを追っかけ森の奥に入っていってしまった。トマシンは馬に振り落とされ気を失う。

ケイレブは慌てて猟銃を持ってファウラーを追っかける。ファウラーの鳴き声を聞いて駆け付けると何かにやられたのか犬は血だらけだった。

ケイレブは一人森をさまよい、入ってはいけない禁断の地へと踏み込む。彼は森の奥で民家を見つける。近づくと赤いローブをまとった若い女が出てきた。女は魔女なのかケイレブを誘惑する。

父親が探しに来たが見つかったのはトマシンだけだった。果たしてケイレブはどうなってしまうのか・・・。

その後のストーリーとネタバレ

ウィリアムはキャサリンが大事にしていた銀のコップを黙って売ってしまった。インディアンから獲物を捕まえるワナを買うためだ。それに少し前にケイレブと森に出かけたことも妻に内緒にしていた。

ウィリアムとキャサリンの間に不信感が漂う。今では馬も犬も銃も失っていた。ウィリアムは一人で森にケイレブを探しに行こうとするがキャサリンが泣きながら止めに入る。

そんな時夜の雨の中、ケイレブが裸で戻ってくる。ケイレブは体中キズだらけで高熱にうなされていた。キャサリンはうなされる息子を見て「これは魔女の仕業だ」と断言する。そして故郷のイングランドに帰りたいと涙を流す。サムが居なくなってから心が石になってしまった、キリストの愛を感じることがもう出来ない・・・彼女は悲痛に暮れる。

ケイレブが意識を取り戻し「女の首を切り落とせ」「女が僕の上に座っている、僕のはらわたをつねっている」と叫ぶ。そして誰がお前をそんな目に合わせるのかと問いただしても、歯を食いしばり口を開けない。

ケイレブの口を無理やり開けると中から血だらけの「りんご」を吐き出した。それを見たトマシンは「魔女の呪いだ」と言う。双子はトマシンが「魔女」だと叫ぶ。そしてサムを悪魔に渡し、ヤギの乳を血に変えたのもトマシンだと言う。

ウィリアムは双子を制し、ケイレブの為に祈れと言う。ところが双子は祈りの言葉が出て来ないと泣き叫ぶばかりだ。その時ケイレブが叫ぶ「ヒキガエル、ネコ、カラス、オオガラス、黒い犬、オオカミが僕を襲いに来る」「イエス様僕をお救い下さい」と言ってこと切れる。ケイレブは死んでしまった。

ウィリアムもトマシンは魔女だと言い、真実を話せば救われると説得する。彼女は「私は魔女じゃない」「悪魔と契約などしていない」と否定する。そして父に向かって「あなたは妻に頭が上がらず、作物の栽培も狩りも出来ない無能な人間だ」とわめき散らす。

さらに「悪魔はヤギに姿を変えて言葉をささやく・・・双子はヤギの話を聞ける」「双子は黒ヤギがルシファーだと知っている」「黒ヤギに変身した悪魔と双子が契約した」と父に話す。

ウィリアムはトマシンと双子をヤギの小屋に閉じ込める。彼は「自分は傲慢な人間だ、しかしどうか子供たちにはお許しを」と神に祈る。母親はサムを抱いたケイレブの亡霊を見る・・・彼女も正気を失っていた。

ウィリアムは次の朝恐ろしいものを見る。ヤギ小屋は壊され2頭のヤギが無残に殺されていた。そして双子は何者かに連れ去られ(魔女が空から来て連れ去ったらしい)トマシンだけが小屋の中で倒れていた。

その時黒いヤギがウィリアムを襲う。彼はヤギの角で腹を刺され「穴に言う、あなたはわが父だと」と言って絶命する。そこに狂った母親が現われ、「お前は魔女だ私からすべてを奪った」とトマシンの首を絞める。トマシンは苦し紛れに近くにあったカマで母親を切り付け殺してしまう。

夜になってトマシンはろうそくを持ってヤギ小屋に行く。黒いヤギは「お前の望みを言ってみろ」と言う。「何をくれるの」と答える。「バターを味わってみるのはどうだ」「きれいなドレスも」「魅惑的な暮らしも与えてやろう」「世界も見せてやろう」とヤギは言う。

トマシンは「どうすればいいの」と答える。「目の前に置いてある本に裸になって署名しろ」と黒ヤギのブラック・フィリップ(悪魔)は答える。

トマシンは裸のまま森に入って行く、後から黒ヤギがついてゆく。森の奥に入って行くと焚き木が燃え盛り、その周りを魔女たちが囲んでなにやら儀式を始めていた。そのうちに魔女たちの体は宙に浮いてゆく。トマシンも快感とともに宙に浮いてゆく。

レビュー

この映画は監督によって17世紀のニューイングランドの暮らしが忠実に再現されている。それを再現することによって魔女の存在がリアルになると監督は言っている。

17世紀の魔女は原始的で今より恐ろしく描かれている。平気で子供たちを食べてしまうようだ(グリム童話のように)。それに当時は森に魔女が住んでいると考えられていた。ひょっとしたら今でもいるかも知れないね。

洗礼前の赤ん坊サムが魔女に連れ去られ、残り6人家族の崩壊が始まる。黒ヤギは悪魔だ、最初、幼い双子をたぶらかし、トマシンが魔女だと家族に吹き込む。次にケイレブを魔女が拉致し、悪魔と契約を結ばせる。しかし、彼は死ぬ間際になって契約の証と思われるリンゴを吐き出し天に昇って行く。

ヤギ小屋に魔女が現われ白ヤギを食い、子供たちをさらう(多分子供たちも魔女に食われてしまっているのか?)。悪魔ルシファーの目的は、日々女性らしくなるトマシンだ。最後はトマシンに悪魔との契約を結ばせ魂は奪われてしまうのか・・・。

夜になると明かりの無い暗くて怖い世界が広がっている。悪魔や魔女が出たっておかしくない。この家族は清教徒だ、神に祈ればいい暮らしが出来ると信じている。でも自然は厳しい、こんな家族を簡単に飲み込み込んでゆく。

日本でも富士の樹海は怖い、過去には自殺者が多く、魂が浮遊しているかも知れない。森の中で迷ったら死を覚悟しないといけないと言う教訓なのかもしれないね。

TATSUTATSU

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