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国民監視システムを暴いた実話「スノーデン」映画の感想-個人情報はもはや裸同然だ


サマリー

2017年1月日本公開のアメリカ製作ヒューマンドラマ
監督 オリバー・ストーン(プラトーン、ウォール街、7月4日に生まれて、JFK、ウォール・ストリート、スノーデン)
出演 ●ジョセフ・ゴードン=レヴィット(G.I.ジョー、インセプション、ダークナイト ライジング、ザ・ウォーク)
●シャイリーン・ウッドリー(ファミリー・ツリー、ダイバージェントシリーズ、きっと、星のせいじゃない、スノーデン)
●メリッサ・レオ(フローズン・リバー、ザ・ファイター、オブリビオン、プリズナーズ、スノーデン)
●ザカリー・クイント(HEROES/ヒーローズ、スター・トレックシリーズ、スノーデン)
●トム・ウィルキンソン(真珠の耳飾りの少女、グランド・ブダペスト・ホテル、スノーデン)
●スコット・イーストウッド(インビクタス/負けざる者たちフューリー、スノーデン)
●ニコラス・ケイジ(リービング・ラスベガス、キック・アス、ザ・レジェンド、NEXT-ネクスト-、ワールド・トレード・センター)

スノーデン[原題SNOWDEN] – 映画予告編
オリヴァー・ストーン監督が、元CIA職員エドワード・スノーデンが国家の機密事項を暴露したスノーデン事件を描く! 主演はジョセフ・ゴードン=レヴィット ©2016 SACHA, INC. ALL RIGHTS RESERVED. 作品情報(Article)

スノーデン[原題SNOWDEN] - 映画予告編

2017年に発表された長編ドキュメンタリー映画「シチズンフォー/スノーデンの暴露」も参考にしてほしい。米国政府による「国民監視システム」について詳しく描かれている。

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』予告編
エドワード・スノーデン氏を取り上げ、第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したドキュメンタリー。 (C) Praxis Films (C) Laura Poitras 作品情報:

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』予告編

オリバー・ストーン監督によるこの映画「スノーデン」はドキュメンタリータッチではあるがサスペンス映画としても面白い、お薦めだ。しかもこれが現実とは・・・。

「彼は英雄かそれとも犯罪者か」普通、会社や組織に属した場合、守秘義務がありその前提で給料をもらっている。会社の情報を外部に流せば当然訴えられる。

ところがエドワード・スノーデンがオープンにした情報はレベルが違う。国を左右する大問題に発展する。彼は何故自分の人生をかけてまでアメリカ国家安全保障局(NSA)の機密情報をイギリスの大手新聞社「ガーディアン」に暴露したのか。(2013年6月の事件)

現代はもの凄く便利な世の中になっている。スマホ、クレジットカード、スイカ、SNS、インターネット、検索サービス・・・・きりが無い。もうこの便利な生活から後戻りできない。

ところが、これらの情報が全てNSAやCIAによって簡単な検索(国民監視システム)で見ることが出来るとしたら、もう個人にはプライバシーが無いと言ったっていい。

もちろんこれらの機密情報が「テロの未然防止」に役立つ場合もあるからすべてが悪いとゆう訳ではないが自分の個人情報がガラス張りになっていると思うと背筋が寒くなる。

ここで問題となるのが、国民監視システムが罪のない人やアメリカの同盟国にまで拡大してしまっていることだ。ドイツのメルケル首相の携帯電話盗聴などは良く知られているけど氷山の一角だ。

サイバー空間を制する者は世界を制すると言う事だ。この映画を見て恐ろしい監視社会がもうそこまで来ている。かつてはSFの世界だったものがITやAIの進歩で今では現実となっている・・・。

ストーリー

2013年6月3日(月)エドワード・J・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は香港で2人の人物と接触する。ドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラス(メリッサ・レオ)とイギリスの大手新聞「ガーディアン」コラムニストのグレン・グリーンウォルド(ザカリー・クイント)だ。

スノーデンは宿泊先のザ・ミラホテルで二人に秘密を語り始める。この模様はローラのビデオカメラに記録される。彼は29才のNSA契約社員であり、かつてはCIAの職員であったことも明かす。

2004年 特殊部隊員として軍に入隊したが、両足の疲労骨折のため除隊。2006年バージニア州CIA訓練センターに入所する。彼はコンピューターは独学だがクラスでナンバーワンの実力を有していた。当然ながら指導教官のコービン・オブライアン(リス・エバンス)から一目置かれる。

このころSNSでリンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)と知り合う。正式なCIAの職員となり、2007年スイスの米国連代表部に赴任し2年近く務めた。ここでびっくりする体験をする。「エックスキースコア」と呼ばれる「検索インターフェース」を初めて知る。

おおざっぱに言うと「グーグル検索」と同じだ、検索したい言葉を入力すればいい。ところが「エックスキースコア」の凄いところは公開された情報だけでなく、メール、チャット、その他何でも検索できる。しかも対象は世界中すべての人々だ、当然リアルタイムで音声や映像も拾うことが出来る。このシステムは暗号名PRISM(プリズム:NSAのインターネット監視プログラム)と呼ばれていた。

善良な国民でも探せば弱点を知ることが出来る・・・つまりなんにでも応用がきく。悪用されたら一巻の終わりだ、犯罪者にだって仕立て上げられてしまう。当然裁判所の許可はいらない。

スノーデンは善人たちが弱点を握られCIAの協力者になって行くのを見て呆然とする。それにコービンから聞いた話だが、中東のテロ対策は短期的な脅威だが真の脅威は中国・ロシア・イランであると。彼らは必ずサイバー攻撃を仕掛けてくる。だからそれに対処しなければならない。

このころからスノーデンが描いていた理想と現実とのギャップが止めどもなく広がって行く。彼はCIAを辞めてしまう。この頃オバマが大統領となる・・・スノーデンはオバマになれば少しは変わるのかと期待するのだが・・・。

スノーデンは「ガーディアン」紙の関係者たちと打ち合わせを行う、内容が内容なだけにどのような形で世間に「国民監視システム」を知らしめるのか苦渋の決断を促す。

「ガーディアン」紙の関係者たちも発表の仕方を間違えば、世の中に認知されないばかりかアメリカ合衆国を敵に回すことになる。しかもこの秘密の会合が漏れれば発表する前に妨害に合う可能性も高い。

CIAを辞職した後のスノーデンはデル経由でNSAに雇われ、日本の横田空軍基地に配属になる。何故同じような仕事に戻ったのかと言われれば、高給(年収2,000万円以上)だし日本で暮らしたかったことが理由だ(彼は親日家だ)。

日本国民の監視を日本政府に協力要請したが断られた。しかし秘密裏に監視は続けた。日本の通信網やインフラを乗っ取りマルウエアを仕込んだ。これは送電網、ダム、病院などに拡大させた。日本が同盟国でなくなればマルウエアを発動させる・・・当然日本の機能は停止してしまう。

このようなことは、メキシコ、ドイツ、ブラジル、オーストリアでも同様だ、これらの国もアメリカの手中にある。当然中国やロシアに対しても手を打とうとしている。

貿易協定、セックススキャンダル、外交公電など、どんな情報でも集められる。これによってG8(先進国首脳会議)でアメリカが優位に立てる。また非協力的な第三世界(アジア・アフリカ・ラテンアメリカなどの開発途上国)の首長を失脚させることも出来る。

これらの監視活動はアメリカが世界経済と社会を支配するために行われている。テロの防止は口実に過ぎない。

NSAは世界中の携帯電話を監視している。一人のターゲットを調査し始める。その電話相手が40人いたとすると、さらにその先へと繋がって行く、3人先へとたどって行くとその数は250万人にまでも膨れ上がる。つまり誰もが日々監視されている可能性があると言う事だ。

NSA内部の高官が「監視の悪用と範囲について問題だ」と政府内部で訴えたが、FBIによる家宅捜索を受けている。ある高官は「スパイ活動法違反」に問われ、口封じまでもされている。

コービンは「世界中の集中情報施設がなければ核攻撃、テロ攻撃、サイバー攻撃は防げない」と断言する。そして「多くのアメリカ人は自由より安全を望んでいる」さらに「アメリカが世界を守ってきた」のだと「世界監視」の正当性を主張する。

スノーデンは彼がたずさわった携帯電話のGPSを使ってテロを監視するシステム「エピックシェルター」が無人機による攻撃システム「ハートビート」に使われていることを知って愕然とする。彼の心の中には自国のへの不信感が膨張を続ける。果たして彼は人間として生きる自由を勝ち取るために立ち上がるのか・・・。

ネタバレとレビュー

彼は2012年に中国のサイバー攻撃防止と反撃をするための新しいプログラム開発に就く。そしてその職場はハワイのオアフ島にある・・・「トンネル(第二次大戦の秘密基地)」と呼ばれるNSA工作センターだ。中国のハッカー攻撃には手を焼く、毎年対策に何十億ドルもかけている。

彼は部長のトレバー(スコット・イーストウッド)の下で働くことになる。この施設で驚きの事実を知る。世界中からのある月のデーター収集量がフランス7000万件、ドイツは5億件、ブラジル20億件、ロシア15億件、ところが米国内は31億件・・・スノーデンは絶句する。他国より自国を監視していたなんて。

また、彼は持病の「てんかん」をもっていること、リンゼイの個人情報までもがCIAに知られていた。自分達は国民の監視をしているがその自分自身も政府に監視されていたとは・・・。もう誰を信用していいのか分からなくなってくる。監視社会とはそういうものだ・・・。

スノーデンはリンゼイまでをも巻き込んでしまった自分達の生活に絶望し、ドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラスに香港で会いたいと暗号化されたメールを送る。彼はNSAから重要なデーターをマイクロチップにダウンロードすると、何とか基地から逃げ出す。

そして2013年6月5日(水)「NSAが米国民の通話記録を収集」との暴露記事がリリースされる。6月6日(木)ワシントン・ポスト紙にも暴露記事が報じられた。

NSAとFBIがインターネット9社(マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェイスブック、スカイプ、ユーチューブ、アップルなど)のサーバーに直接侵入、音声・動画・写真・メール・文書接続ログを収集し、人の移動や連絡先を追跡可能にしている。

6月7日(金)オバマ大統領が「監視には制限があり乱用は無い」を政府の見解を述べるが信用する者はもう誰もいない。

スノーデンは暫く香港に潜伏し、モスクワ行きの飛行機に乗る。彼はロシアに政治亡命する。内情はパスポート無効になったためロシアに滞在するしか方法がなかった。

スノーデンはテレビジョン放送で「アメリカは自由と言う基本の上に成り立っている。政府によってこれが捻じ曲げられれば、世界中の人々が行動を起こすでしょう。」と主張する。果たして世の中は変わって行くのだろうか・・・。

最後に、スノーデンは「ハワイを出た時に全てを失ったけど、新たな人生が始まったそして自由を得た、後悔はしていない」と述べた。現在彼はモスクワでリンゼイと暮らしている。

今も日本国民の監視と盗聴が行われているとスノーデンは暴露している。しかし日本の無線への盗聴は第二次世界大戦中から行われていてそれが現在も継続しているにすぎないと感じる。

日本には米軍基地にあるPRISM(プリズム:NSAのインターネット監視プログラム)と無線を傍受するエシュロンが存在すると言われている。

これらのシステムから得られる監視情報はアメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなどの国で共有化されていると考えられるが残念ながら日本はこれに参加することが認められていない。

オバマ大統領は全国民に対し「情報を隠すことなく公開する政治を行う」と演説していたがこの公約が実行されたとは思えない。巨額の投資によって構築された監視システムを捨てることは出来ないと思うし、もうそれが必要な時代になってしまっている。

日本はアメリカの核の傘の下に守られているとよく言われるが、これから先はサイバー戦争の時代に突入する。その時に日本を守ってくれる国はあるのかな?

スノーデンは「国民監視システム」の存在を明確に世界に暴露した。そして彼はNSAの膨大な秘密情報を盗み出して香港経由でロシアに政治亡命している。中国・ロシアにとってはのどから手が出るほど欲しい情報だと思う。

全世界の人々のために行った行動が結局、中国やロシアを利することにつながるのか・・・彼の行動が冒頭に述べた「彼は英雄かそれとも犯罪者か」が明らかになるにはもうしばらくかかりそうだ。

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