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映画「カメラを止めるな!」感想・評価:無名新人監督、無名俳優による超低予算ゾンビコメディ映画

サマリー


2018年6月 日本公開のゾンビコメディ映画
監督・脚本 上田慎一郎(カメラを止めるな)
出演者 ●濱津隆之
●秋山ゆずき
●真魚
●しゅはまはるみ
●長屋和彰

映画『カメラを止めるな !』予告編

 

口コミで広がった今話題の超低予算コメディ映画だ。確かに面白いが、場末の小劇場でワイワイがやがや、ゲラゲラと騒ぎながら見た方がこのドラマには合っている。

豪華ハリウッド映画上映館では少々迫力不足だ。しかし製作費300万円、新人監督、無名俳優でこれだけの評判が取れれば大成功だと思う。ハリウッド映画、アイドル映画、ヒーロー映画に飽きてきた人にはこんなドツボに叩き込まれたような手作り映画もタマにはいい。

撮影はぶっつけ本番に近いものがあるが上田慎一郎監督が考えに考え抜かれた緻密な脚本が生きている。映画には裏表があることを笑いのネタにしているところが実にグッドだ。普段我々が見てる映画の裏側はこんなんだろうなと感じさせる。

出て来る俳優たちの素人っぽさ、演技の臭さ、金のかかってない廃屋のロケ場所、何処にでも転がっているストーリー、全編にわたるこのチープさがたまらない・・・チープさを通り越して学芸会感覚だ。

この映画は二部構成になっていて、一部は何てことのない何処にでもあるクソゾンビドラマだ。冒頭の37分のゾンビから逃げ回るシーンがワンカットで撮影されている。

これで終わりかと思わせといて二部が始まる。主体はこの二部目だ。一部と二部で俳優とプロデューサーの立場が逆転し笑いを誘う。つまらないゾンビドラマを完成させるためには裏方スタッフの並々ならぬ苦労がある。この苦労を面白、おかしく描き、一部とリンクさせる、ここがミソだ。

第一部ストーリー

ゾンビ映画の撮影中に、本物のゾンビが出てきて撮影スタッフがどんどんゾンビ化してしまう。ところが監督役の日暮(濱津隆之)はそんなことはお構いなしにカメラを回し続ける。

主演のアイドル女優 松本逢花(秋山ゆずき)は当初イケメン俳優の神谷(長屋和彰)のゾンビに襲われ逃げ回る。ところがこの撮影中に本物のゾンビが現われスタッフが次から次へと襲われる。助監督も録音マンもゾンビになってしまう。

アイドル女優は逃げ回る。彼女はメイク担当の女と車で逃げようとするがキーが無い。女たちはオノでゾンビを倒しながら逃げるがついに建物の屋上へと追い詰められる。

アイドル女優は最後まで追いかけてきたイケメン俳優ゾンビの首を切り落とし、ストーリーが完結する。

第二部ストーリーとネタバレ

映画監督の日暮隆之はバラエティ番組の再現ドラマやカラオケの背景映像など「早い」「安い」「質はそこそこ」的な仕事を得意としている。今回新しくスタートする「ゾンビ・チャンネル」の開局記念として37分の生中継ゾンビドラマの依頼を受ける。

監督役の俳優とメイク役の俳優が降りてしまったため日暮隆之が監督役、妻の日暮晴美(しゅはまはるみ)がメイク役の代役を務めることになった。

主演のアイドル女優 松本逢花は美人でもないのに超生意気だ。演技が出来ないから嘘泣きと目薬で逃げるつもりだ。彼女の恋人イケメン俳優の神谷はこだわりの強い俳優でいちいちうるさい・・・彼がゾンビ役だ。

アイドル女優がイケメンゾンビに襲われるところから映画がスタートする。監督の日暮隆之はアイドル女優の演技が下手過ぎて何度も怒鳴りあげる。

そんなところに本物の元カメラマンのゾンビが現われる。ところがこの俳優はアル中で差し入れの一升瓶を飲んでしまったため、ヘロヘロで演技が出来ない。みんなで起こして無理やり演技させる。

録音マン役の男は胃腸がすこぶる弱いため撮影の最中に現場から抜け出し野グソする。こいつの為にストーリーを適当に変更する。そして気弱な助監督がゾンビに襲われゾンビになるが迫力が無い。

メイク役の監督の妻 日暮晴美は役にはまると周りが見えなくなってストーリーとは関係なく勝手に動き回る。ゾンビにとび蹴りを食らわしたりと手に負えない。夫の監督 日暮隆之がしかたなく妻の首を絞めて失神させる。

さらに腰痛のカメラマンが倒れて撮影が窮地に陥るがカメラ助手が後を引き継いで事なきを得る。とにかく37分の生中継だからカメラを止めるわけにはいかない。

撮影部隊がバックアップしながら撮影は続けられる。ストーリーの変更は当たり前。最後はアイドル女優が建物の屋上に逃げ襲ってくるイケメンゾンビの首をオノで切り落とす。作り物の胴体と首をカメラの前に投げ入れて撮影成功だ。

現場は綱渡りで生中継は終わる。これが撮影の裏話、ネタバレだ。プロデューサー達も超適当で何でもオーケーで片付ける。でもスタッフ一丸となって黒子のように陰で支えるのはどんな映画だって同じなのかもしれない。

レビュー

それにしても、これだけくだらないドラマが大ヒットするのはピコ太郎のPPAP以来だ。世の中、何が受けるかさっぱり分からない。あまりにもシュールだ。

37分のノーカット生中継の裏側にはスタッフの「こんなに苦労がありました」が大いに受けたと思う。何事も裏側を見せる、或いは真実をさらけ出すところに観客の共感を得たのか?世の中なんて全て「表・裏」で出来ている。

一見「表」はカッコイイが「裏」にまわればこんなにダサくてドタバタだ。そんなことを感じさせてくれた上田慎一郎監督に乾杯だ。

次回作を頑張ってほしい、ピコちゃんのように一発屋にならないことを祈っている。

TATSUTATSU

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